第17話 【災禍】、降臨

突如発令された警報……シエラの慌てふためく声……だが、その文言に戦慄を覚えないアークスは皆無であった。

« シップ内に転移反応! これは……ダークファルス?! »

10番艦ナウシズのアークス専用区画、その一角に……まるで黒いシミの様な空間の裂け目が発生し、徐々に広がって漆黒の少女が姿を表した。
小柄な少女の姿をした闇、そんな表現が相応しいだろう……だが、少女の姿をしていても、その心は闇そのものである。

『……ここか、奴らの巣窟とは……どうも不思議な感覚だな……』

そう口にした少女……だが、言葉とは裏腹に、おもむろに手を翳すと、凄まじい負のフォトンが寄り集まって球体となり、凝縮された破壊の嵐が周囲に吹き荒れた。

駆けつけたアークスがそれぞれの得物を手に迎撃を始めるが、少女はそんな攻撃など意に介さぬとばかりに無視し続けた。
それもそのはず、アークス達の攻撃はその尽くが少女に届く前に爆発、あるいは霧散していき、例え届いたとしてもその体表に触れる直前で軌道を逸らされるか、もしくは受け止め、受け流され、ろくなダメージなど全く入る気配など皆無……まるで見えない壁に全てを阻まれている……状況的にはそんな様子だった。

「くっそぉ……なんで攻撃が通らない?!」
「バリアーか? なんて強度だ……これじゃ足止めにすらならんぞ?!」

悪態を付きながらもなお攻撃の手を緩めないアークスに業を煮やし、少女は右手を掲げ何やらブツブツと唱え始める……その様子に気付いたアークスの1人が叫んでいた

「備えろ! ヤバいのが来るぞ!!」

『全てを消し去る事こそ我が望み……消滅せよ、忌まわしき者共よ』

その言葉とともに放たれたフォトンの渦は、瞬く間に周囲一体を飲み込んでその全てを砂へと変えていった。

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