第2話 過去と記憶と運命と act.3

惑星ウォパルの不可思議地域、エネミーの湧かないエリアの調査に来た透火。
原因は直下にある虚空機関の施設保全を目的に設置された結界装置であった。
その装置の設置場所を特定するため、追加調査に乗り出す透火であったが・・・

「・・・はぁ・・・どこにあるのよぅ結界装置ぃ~・・・。」

反応あれど装置は見当たらず、調査開始から(現地時間で)4日が経過していた。
未だ発見報告も挙げれず、ウォパルに滞在する透火。
最初に連れてきていた妹たち3人は、調査継続の可能性が濃厚になった時点で先にシップへ戻らせており、現在は透火1人での調査であった。
・・・いや、1人ではなかった。

『・・・さすがに反応があっても、計測データに不自然な揺らぎが混ざって正確な位置が特定できてないし、なにより地上でない可能性が大いに高いからね・・・。』

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第2話 過去と記憶と運命と act.2

小さな少女を置いてけぼりにして笑う大人たち。
彩火は少なくとも、原因が自分ではない事だけは理解したが・・・経緯や現状は未ださっぱり理解できないままでいた。

「はははっ・・・はぁはぁ・・・苦しw」

少女よりは大きいが他より小柄な青い髪の少年、シャオは息を整え透火の連れてきた少女に向き直り、咳払いをして話し始める。

「・・・さて、君と会うのは2度目かな・・・僕はシャオ、オラクル船団の中枢存在で、アークスの管理者・・・といってもワケ解んないよね?」
「管理者・・・船団・・・ここお船の中? シャオ、偉い人?」

断片的ではあるが、彼女の理解力は通常の同年代よりはるかに高いようだ。
彩火の年齢はおおよそ10歳前後・・・現代日本で言えばちょうど小学4年生くらいだろう。
この年齢で断片単語とはいえ難解の部類に入る単語をあっさりと理解し、反芻するように返してくるのはある意味異常である。

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第2話 過去と記憶と運命と act.1

-アークスシップ10番艦・ナウシズ 居住区画「透火のマイルーム」-

「ふーん・・・で、今に至ると・・・?」

険しい表情ながらこれまでの経緯説明を反芻し、唸る一人の女性。
ブロンドヘアの長髪、そして抜群のプロポーションを持つ女性・・・
セリス・シェールは、視界の端に座っている少女を見やり、そしてまた視線を部屋の主・・・透火へと戻す。

「しばらくは監視付きでフィリアさんに面倒見て貰ってたんだけどさ・・・。」

言葉尻を窄めてく透火をフォローするかのように、テーブルへ紅茶を出しながら瑠那が続きを話す。

「シャオの話では、『実験体だったという事以外に不審な点は見付けられなかった』という事で、発見者であり一番懐かれている義姉さまの元で様子を見て欲しいとの事・・・」
「・・・ですが、引き続き情報部の監視体制は継続中です・・・この件はあまり口外されないようお願いします、シェールさん。」

部屋の入口で壁に寄り佇むのは情報部所属のアークス、バイザーで目元を隠してはいるが敵意などは無い。

「・・・もぅ、アイカちゃんもこっちで一緒にお茶すればいいのに・・・。」
「任務中ですので。」

そっけない態度で即答され、透火は落胆する。
その様子に薄ら笑みを浮かべ、セリスは出された紅茶を啜った。

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