番外編 その力、仮面に宿して

- 虚空機関 某・研究施設跡地 -

 私がこの研究を初めて、かれこれもう20年は経った
ある程度までは形になっているものの、肝心な適合者の選定と運用システムの構築に目処が立たない・・・私の研究は既に風前の灯だ・・・総長から研究援助の打ち切りを宣告されて3年は耐えたが、もはや限界が近い・・・
いずれ資金も尽き、生活にも困窮するだろう・・・しかし、私が考案したこのシステムを活用できる者さえいれば、アークスの生還率は飛躍的に上がり、あのダークファルスでさえも難なく撃退できるはずだ・・・あと少し、あと少しなのだ・・・

外からは見えないサングラスの向こうに、確かな何かを感じた目で手記のデータに目を通していたクロトは、表示させていたホロウィンドウを閉じ、何処かへと連絡を取るべく端末を操作し始めた

「・・・やぁ、久しぶりだね・・・ちょっと相談があるんだけど、良いかな?」

- 数年後 アークスシップ4番艦・アンスール 艦橋エリア  -

『・・・以上の理由から・・・え~と、新型のフォトン活用システム?それと、代替・・・でいいんだっけ? それ用の戦術行使システムの構築を君にお願いしたいんだけど・・・良い?』

 組織のトップとは、何時如何なる時も適度に緊張感を持ち、誰に対しても毅然とした態度を崩さずに対応するのが一般的だったと思う・・・少なくとも彼はそう記憶していた
だが、目の前の通信相手はその気配が・・・微塵も感じられない・・・
先程までガチガチに緊張していた自分の方が馬鹿を見た・・・そんな風に心の中でトリニティは悪態を吐いた

「・・・シャオ直々の直轄下という事は、計画実施に際する諸々の問題や統制も済んでいる・・・という事ですか?」

通信の相手はアークスのトップ・・・フォトンの才を持たず、それでもアークスへと憧れ、命の危険すら乗り越え、ついには憧れの組織を束ねる立場へと就いた人
会う前はその信念を貫いた姿に尊敬すらしていた女性・・・ウルクの態度に、トリニティは今、キレそうな心を必死に抑えていた

『そうなります・・・それと試験機の開発、及びハードウェア関連に128番艦テミスのジグ氏が就いていますので、構築面での調整や試験開発は直接工房へ、と伝言があります。』

横に立つデューマンの男には、好感が持てそうだ・・・しかしウルクに対しては若干、裏切られた感が否めない・・・しかし雑念を振り払い、トリニティは直接依頼を快諾し、新型システムの構築を請け負った

「・・・のが、約3ヶ月前のことだよ。
 そして、今日来て貰ったのは例に漏れず、新型システムの適合者探しってことさ。」

トリニティは同じチームに所属するメンバーの中から、適合する可能性の高い人物を選り抜き、機能を限定して先行試作して貰った試験機を使って貰うことにした
・・・集まったのはシナノ、龍鬼、UKAM、sukeixisuの4人。
それぞれトリニティとの付き合いも長く、彼とジグ爺へ武器のメンテを依頼する等それなりの協力関係でもあった。

「・・・で、適合者ってのはなんなんだ?」

当然のごとく降って湧いた疑問・・・適合者という存在、その言葉と意味が指し示すもの、そして「探している」と言ったトリニティ・・・まずはそこからだろう、とシナノは質問をぶつけた

「順を追って説明するよ・・・」

曰く、システムにはある種の適正が必要不可欠であり、一定の適正値を保持し得る能力者、つまりは該当の人物が「適合者」となるが、その適正の有無や傾向、数値などは実際に計測、または実践してみないと分からないという事であった。
当然、事前に計測できるよう準備と調査機器は揃えられており、あとは適正を持つであろう人物を実際に計測するだけ・・・事前にシャオによって選別された中で最も可能性の高いと目されるのが、奇しくもチームメンバーである彼らだったという

「ここからは実際に実機を前にしながら検査と計測をしないと解らないんだよ・・・悪いけど、協力してくれないかな?」

未だ多数の疑問や起き得る問題など、不安要素は多々ある・・・が、他ならぬ彼の頼みでもあり、上層部肝入りの一大プロジェクト、例えその端であっても自らの名が加わると考えると、やるべきかどうかは自ずと見えていた

「しょーがねぇ、一先ずお前さんを信じるよ・・・腕が確かなのは俺達が一番よく知ってるしな。」

「オマエガ絡ンデル・・・ソレ自体ガ特ニ問題ナイト言ウ事ノ証左ダシナ・・・俺モ協力シテヤルヨ。」

最初に協力の意思を示したのはsukeixisu だった
続いて龍鬼も申し出を受けてくれた・・・残るはUKAMとシナノだが・・・

「オレ個人としては別に構わないんだ・・・だが、チームを率いる者として、オレなりのケジメを付けさせてくれ・・・もし、この事で俺らが被害、または死亡した場合の措置や、保証、あるいは見返りはしっかりと筋を通してるのか?」

「その部分は問題ない、むしろこのプロジェクトが成果を挙げる事で、将来的にアークスとしても、その他でも多大な恩恵や見返りが約束されると僕は考えてる。」

返答を聞き、しばらく押し黙っていたシナノとUKAM・・・だが、ため息と共にUKAMが「しょうがねぇ」とばかりにシナノへ苦笑の入り混じった顔を見せると
シナノもまた、やれやれといった表情でトリニティに向き直った

「OK・・・シャオも絡んでる事だし、これで降りる方が後悔しそうだしな。」

一瞬、表情はやや呆れ顔であったが、すぐさま真顔に戻り、協力の意を示した

「・・・なんだよ、結局みんなOKしてんじゃんか。」

こうして4人の協力者を得たトリニティは、新型対ダーカー戦術支援システムとの適合テストを開始・・・それと同時に、システム面の調整とカスタマイズの方向性を模索する実験も始まったのであった

- テスト開始から数週間後 -

「・・・ふむ、この検証結果は実に面白い数値を示してる。
 それにこの数値・・・驚いたな・・・これほどの素養があるなんて・・・。」

簡易的な適合適正テストと調整用のデータ採取が終わったと連絡を受け、再び集められたシナノ達だったが、結果を記してあると渡された報告書の内容は4人にとってチンプンカンプンであった、だがトリニティは4人を尻目に実験結果の資料を眺めて何やらブツブツと呟いている

「オイ、一人デ納得シテネェデ俺等ニモ分カルヨウ説明シロ。」

龍鬼の一言で我に返り、謝罪混じりに頭を掻きながらトリニティは説明を始めた

「まずシナノだけど、君にはフォースエレメンタルの1つ、タキオンに対する高い適正値があった・・・これは特に希少価値の高い素養で、適性のある人物は物理的圧縮時間における観測値に狂いが生じず、また時間圧縮に対する耐性が高い・・・つまりはタキオンを用いた時間圧縮における超高速運動への耐性と適正・・・要は超高速でも普段どおりに動ける素養があるって事。」

初っ端から疑問しか湧かない解説だ・・・

「次に、 sukeixisu・・・君にはDエナジーへの高い適正だね。
 比較的 メジャーな素養だけど、数値はある種異常値と言っても過言じゃないレベルだった。」

メジャーって、どの部分がだ?
比較的というがそれはどの分野でなのだ・・・

「龍鬼だけは他とは一線を画す面白い適性があったよ・・・まぁ、この適性はわざわざ調べずとも知ってはいたけど、改めて数値化するとこれがまたトンデモナイ事になってね・・・D因子における耐性とオーラ適正が観測可能範囲ギリギリの化物クラス・・・これ実際アッシュより高いんじゃないの?」

アッシュ・・・あの、守護輝士と同等以上? そんなバカな・・・

「最後にUKAMさんだけど・・・これは・・・」

「何だよ・・・オレだけ勿体ぶって言わねぇとかどういう了見だ?」

「あ、いや・・・逆にコレはチャンスなのか? いやでも・・・」

「さっさと教えろよ、オレの適性は何なんだ・・・!」

奇妙なやり取りの後、トリニティは重い口を開いた

「UKAMさんの適性は、フォトンブラッドへの完全適合・・・つまり、ある意味ニンゲンヤメてる存在・・・かな。」

後から補足するように説明された内容を要約するとこうだ
フォトンブラッドとは、現在アークスで一般化しているフォトン技術の発展形とも言える新技術によって生み出された超圧縮流体エネルギー物質であり、たった数滴のフォトンブラッドで巡洋艦クラスのリアクター出力を武器に与えることが出来るという・・・しかし、フォトンブラッドは強力なぶん扱いも非常に危険であり、常人ではフォトンブラッドの「毒性」・・・フォトンブラッドの発する光そのものが強力な毒性を持つ・・・言い換えれば核エネルギーにおける放射線と同レベルの危険度を持っているという事だった

「・・・つまり、UKAMさんだけがフォトンブラッドの適正・・・その毒性に対する耐性を持ってるんだ。」

どこまで理解が及んだかは分からない、しかし、UKAMがこの適正を持っていなければ、あのベルトは使えない・・・逆に言えば、この適性さえあればあのベルトを使いこなせる可能性があるという事でもあった

「・・・じゃあ、耐性を持たない奴が光を浴びたら・・・どうなるんんだ?」

恐るべきフォトンブラッドの毒性を予め知っておくべきだと、シナノは切り出し、その効力を問いただした

「フォトンブラッドの発する光そのものが有する毒性は、瞬間量で言えばそんな大したものじゃないんだ・・・だけど・・・浴び続ける、または、体内などで崩壊現象を引き起こされた生物は・・・5秒で灰と化す・・・。」

フォトンブラッドは放射線と同じく、浴びる事で徐々に体内に蓄積されてゆき、蓄積値が一定量を超えた時点で、フォトンブラッドによる攻撃を浴びた者と同様に燃え尽き、灰になってしまう・・・耐性を持つというのは、その現象を迎えるまでの許容量(キャパシティ)が非常に大きい者、かつ、通常フォトンによって浄化が可能な特徴を有する者を指す
自身の予測を遥かに超えた現象を説明され、シナノは一瞬とはいえ戦慄した
だが、トリニティは補足として、新造したフォトンキャンセラーという浄化装置を使う事で、体内に蓄積したフォトンブラッドを浄化できると説明、定期的に利用すれば、生命の危機を迎える心配は無いと付け足した

「フォトンブラッドは一応、現行で最強の耐生物兵器という側面を知っておいて貰わないと、乱暴な運用はして欲しくないからね・・・。」

戦慄から一転し、トリニティは苦笑いで弁明した

「・・・お、おぅ。」

専属として指名されたUKAM自身もまた、苦笑いで応える・・・
残りの3人も、まるで怪談の事後のような独特の雰囲気に、声を出せずに黙っているしかなかった・・・

そんなこんなで適正の解説を済ませ、いよいよエンゲージとマッチングテストが開始されることになった。
適正者の4人はそれぞれ隔離されたフロアでベルトを装着、各種センサーや調査機器がウジャウジャと周囲を取り囲み、トリニティは別フロアでそれぞれをモニタリングしている・・・そのトリニティも10面に及ぶホロモニターで取り囲まれ、その詳細データを逐次映し出していた

「初回マッチングテスト、問題なし・・・第2次チェック項目クリア・・・1番から68番までの確認項目異常なし・・・よし、みんな、それぞれ資料にちゃんと目を通したか、確認も兼ねてプロセス通りにやって『変身』だ!!」

心做しかスピーカーから流れるトリニティの声が興奮を抑えきれない様子だが、4人はそれぞれのプロセスを反芻し、そして意を決して叫んだ

『変身ッ!!』

各フロアが光の奔流によって視認不能となり、トリニティは周囲のモニターで状況を確認する、その表情は研究者なら誰しもが浸りたい、最大の成果が形となって現れる・・・そして、世に示され、栄誉を受ける・・・それは至福の瞬間であった

番外編 END

筆者の戯言
うん、我ながら下手な文章だねw
まぁ、どう足掻いても私の頭じゃコレが精一杯だし他にどうしようもない!
欲を言えばもう少しじっくり考えるのもアリかなとは思ったけど
せっかくのライダーネタを捻じ曲げるのは気分的にも許せなかったし
後半は割愛した感じになってしまったのは早く前の続きも書けよと
催促されてしまいそうだったんでとりあえず・・・
(´-∀-`;)ゞ

フォトンブラッドの特性については小説書く前からずっと腑に落ちなかった項目
何度か資料や本編を見直して「あ、アレに近いや」とやっと理解してこういう形で再現してみたとです
うん、まるっきり放射線とおんなじw
本編でも非適正者は数回の使用後に必殺食らった相手と同様に自壊するし
敵として喰らった奴もみんな燃え尽きて灰に・・・
うん、危ないねフォトンブラッド

他に関してもお察しの人はいらっしゃると思いますがほぼ原作設定の通りの単語を交えてあります
いや~パーフェクトファイル(資料)様々ですなw
元々、SF要素が強い仮面ライダーですけど
1人だけ違う子も混じってるんですよね「響鬼」
あっちだけはPSO2要素としてダーカー因子の変異という方向で表現しました
ぶっちゃけ言うと響鬼だけ本編未視聴なんですよね(それでよく書けたな

さて、この番外編は本編の補足や別視点とか色々交えて
今後も不定期で追加していきます
最後まで付き合って読むも良し
ぶっちゃけ読まなくても本編を楽しむのに支障はありませんがw

読んでいただけるなら幸いです
それではまた、次の機会に・・・

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