第5話 未来へと向かうために

「始まりはそう・・・かの【巨躯】戦争の前だ。
 私がまだ六芒となる前、私とアルマは・・・1人のアークスの運命を変えてしまったのだ。」

レギアスから語られた衝撃的な内容・・・
かつて六芒と呼ばれる前に、レギアスとアルマは1つの過ちを犯したのだという
それは組織にとっては些細な事、しかし2人にとっては今なお尾を引く悔恨だった

「私はかつて、もう1人の剣士と腕を競い合っていた。
・・・彼女は強かった・・・随分と過去の事だが、私と彼女とはほぼ互角の腕前だった・・・これはマリアも当然知っている。
当時、ダークファルス【巨躯】から世界を・・・アークスを守り続けられたのは、私とアルマだけでなく、彼女・・・刹那の存在もあってこそだった。」

一同は驚愕した・・・刹那とは、【巨躯】戦争の最中にアークスを裏切り、防衛部隊に壊滅的被害を与える引き金となった人物である。
しかし、レギアスから語られた彼女に関する事柄は、当時の情報とはあまりにも掛け離れたものであった

「彼女は強かった、それは単なる技量よりも、『心の強さ』と『見極める眼』と、そして『折れぬ信念』があった・・・それ故の弱点もあった。」

彼女は強かったが、同時に脆かった・・・キャストではない身体でレギアスと同等の剣技と身体能力を発揮すれば、生身の人間では遠からぬ内に限界が訪れる・・・
アルマは彼女の身を案じ、レギアスと『ある約束』をさせ、引き換えにアークスから身を引かせた

「しかし、当時の研究部・・・虚空機関が彼女をそう簡単には諦める筈はない。
【巨躯】戦争勃発と共に彼女を戦線復帰させ、最前線へと送り込み・・・何らかの事故を装って研究材料としたのだろう・・・対外的には逆賊として処理したとなっているがな。」




- アークスシップ4番艦アンスール・市街地エリア 迎撃区画 -

「・・・何よ、その力は・・・?!」

黒女は先程とは打って変わり、驚愕とも畏怖とも取れる表情をしていた
それもそのはずだった
シナノ達4人から、普通では有り得ない程のエネルギーが感じられたからだ

「そう長くは持たないだろうが・・・すぐにケリを付ける!」

その一言と共にシナノの姿がかき消える、他の3人もそれぞれ行動を開始
姿こそ消えないが先程までとは恐ろしい程に速度が跳ね上がり、一転して黒女は劣勢に立たされる

「くっ、この・・・調子に乗るんじゃないわよ!!」

黒女が重力球を大量に発生させ、周囲一帯を飽和攻撃によって消し飛ばそうとするが・・・sukeixisuは周囲の重力球をまたたく間に叩き落とし、UKAMもまた、進行ルート上の重力球を潰しながら接近、手にした大砲らしき武器からブレードを展開して黒女へ反撃とばかりに斬り付ける
黒女は体勢を崩しながらかろうじて回避するも、直後に龍鬼の剣戟が黒女を襲う

「きゃあぁぁぁ!!」

悲鳴と共に大きく吹き飛んだ黒女・・・吹き飛ばしたのは龍鬼ではなく、大砲を手放しその拳にベルトのデバイスを装着して直接殴ったUKAMだった
命中したのは黒女の左脇腹部分・・・そこはまるで重度の火傷を負ったかのように服から全てが焼け爛れ、肉が焦げる嫌な匂いを発していた

「・・・じょ・・・冗談じゃないわ! アンタ達のその力、おかしいわよ?!」

「だろうな、あんた等の知らない力・・・だからなッ!」

声と共にシナノが眼前に現れ、見事な回転蹴りを黒女の肩へと命中させた
・・・が、黒女はわずかにクリーンヒットを避け、吹き飛ばされるのを利用してそのまま撤退したのだった

「・・・手応えが薄かったな、撤退したのか。」

≪皆さん、ご無事ですか? もうずっと目が離せなかったですよぅ・・・そのベルトとかスーツは一体何なんですか?!≫

敵の撤退を確認したシナノ達4人はそれぞれ戦闘態勢を解き、ベルトを操作して戦闘前の姿へと戻った
そこへ通信越しに興奮冷めやらぬシエラの質問の嵐が開始されるが、それはすぐに止みシャオの指示が飛んできた

≪激闘の直後で疲れてる所悪いけど、周囲の安全確保と負傷者の救護、要救助者の確認とか、やる事は山ほどある・・・もう一働き頼むよ。≫

シナノたちも互いに頷き合い、散開して周囲の状況を確認しながら救援活動を再開した

- アークスシップ4番艦アンスール ファルクス・ラボ 応接室 -

レギアスは闇に葬られた過去の一端を皆に語り聞かせた
もう一人の六芒候補の存在、【巨躯】戦争の実態、虚空機関の暗躍、そして・・・

「そして私を含めた6人は六芒となり、刹那は反逆者として六芒均衡に処理された、となった・・・実際は疲弊した彼女を虚空機関が連れ去ったのだろうがな。」

レギアスの過去語りをずっと聞いていたメンバーだったが、ジグが突然口を開く

「じゃあ、お主があの時ワシに預けた二刀は・・・」

「ああ、刹那のものだ・・・彼女は2つの刀を同時に操る、今で言うバウンサーのような戦い方をしていたよ。」

ようやく納得した顔をするジグ爺・・・次に口を開いたのはトリニティだった

「僕は後天系キャストだけど両親は居ない・・・
でも、知っていることはある・・・母は【巨躯】戦争までは生存していた事、40年前に父が暗殺された事・・・そして、母が元アークスだった事だ。」

「・・・! もしや君は・・・」

トリニティとは長い付き合いである透火でさえ、彼の過去を聞くのは初めてだった
そしてレギアスの驚愕した態度・・・秘匿された刹那に関する情報が偶然にもこの場にこれだけ出揃うなど普通ではあり得なかった
そしてトリニティは続けた

「透火とレギアスの関係は前から知っていた・・・だからこの機会に直接、貴方と会って話したかったんだ・・・そして、これで僕の仮設が証明されたよ。
・・・僕の両親は虚空機関によって消されたんだ。」

レギアスから語られた40年前に隠された事実とトリニティから語られた両親の謎・・・偶然にしては出来すぎた2つの事実は、ある事を如実に物語っていた

「じゃあ、あの刹那さんがトリーのお母さんで、本当は反逆してないし虚空機関の暗躍で消されたって事?」

透火が口にした真実、最早この場にいる誰もが疑わなかった

「・・・そうか、君が彼女の・・・。」



- 数日後 -

アンスールとラボへの襲撃から数日が経ち、被害を受けた地区の修復が終わろうとしている時、それは突然の出来事だった

「船団右舷側に異常なフォトン反応を感知、これは・・・!!」

オラクル船団から少し離れた宙域に「ダーカーの巣」と呼ばれる謎の構造物が突然姿を表したのだ
折しも現状はアッシュと【仮面】により「深遠なる闇」は封印され、アッシュとマトイは度重なる激戦で蓄積したダーカー因子の徹底浄化と、長期療養を目的とした冷凍睡眠を初めて間もない頃・・・数々の激動を制し、疲弊していたアークスの前に忽然と現れるダーカーの巣・・・これはさらなる激動の予兆なのだろうか



次回予告

オラクル船団に迫りくるダーカーの大集団
全シップへの大規模攻撃に疲弊したアークス達だったが、ついに彼らは謎の黒づくめの目的と正体を知る
凶鳥の使徒と名乗る彼らの目的は、ある存在の復活であった
使徒の凶行を阻止すべく必死の抵抗を試みるアークス達だったが、彼らの前に驚愕の人物が立ち塞がるのであった

次回 第6話 真紅の再臨

・・・なんで、なんでアンタがそこに居るんだ!!

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