(続)外伝「境界を超えし者達との共闘」

前回からのあらすじ

異世界から来た剣士「キリト」と「アスナ」
オラクルへと舞い降りた異世界の剣士2人は、守護輝士と出会い
打ち解けて仲を深める

そんな中、突如として消えたはずのフォトナー艦隊がオラクルへと襲撃してきた
同時に現れたアークスらしき白衣の男によって、アインクラッド時代の愛剣を手渡され
キリトとアスナは、アークスとの共闘を要請される

疑心に囚われながらも、白衣の男の真摯な姿に根負けして
協力を承諾する2人

そして他の世界から来た者達もまた
それぞれがアークスに受けた恩を返すかのように
各々動き出すのであった……


「……本当に良いのね? 相手は未知の軍勢なのよ?」

「僕らが此方で助けられた様に、今度は僕らがあの人達を助ける番だと思うんです……それくらいしか出来ないと思うけど、これは3人で決めた事ですから」

 青と白のピッチリとしたタイツのようなスーツに身を包み、通信越しに誰かと話す少年『碇シンジ』……その横には同様のデザインだが色違いのスーツを着た少女が2人立っており、赤いスーツの少女『惣流・アスカ・ラングレー』が少年の横から割り込む。

「今、襲撃されてるのはココなんだし、離脱するにも戦闘は避けられないじゃん……だったら、あっちに協力してやった方が寝覚めも良いでしょ?

 それに、今しがた要請もされちゃったしね……」

 赤いスーツの少女が視線で合図した先には、白いスーツの少女『綾波レイ』と白衣の男が握手をしている場面であった……対抗手段についても、提供される物を使用すればリスクを最小限に抑えられると言う。
 レイは最初、返答に困った……が、何やら耳打ちされ、少し考えた後に要請を受けると言い出したのである。

「さすがに楽観なんてできないわよ、今回はEVAも無いんだし……」

「ミサトさん、それなんだけど……」

 恐る恐る切り出す通信相手の少年……先ほど白衣の男に託された物を通信画面越しの女性……葛城ミサトへと見せる。

『……きぐるみ? いやマネキンかしら?』

それは、EVAの姿を模して精巧に造られたマネキン……にしか見えない等身大の置物。
だが、白衣の男は首を振りこう語る……

「それは『i.D.(イマジナリー・ダイブ)ユニット』と言って、起動させた人間を見た目通りの存在へと昇華させる……言わば本物になれるのです。
 今回は無茶振りしてスミマセンでした赤城博士、伊吹さん……」

 男の発した名前に、驚愕して通信画面の向こうで振り向くミサト、その視線の先には平常運転の赤木リツコと、逆にテレ顔で苦笑いを隠し切れない伊吹マヤの姿があった。

「……リツコ?! ってマヤも?! アンタ等ねぇ!?」

「お二人を責めないで下さい、此方が強引に交換条件を持ち出して押し切った訳ですし……頂いたのはEVAの外見やコクピット内の実寸データ、そして操縦システムの概要だけですから」

 彼女らから手に入れたデータを元に、白衣の男は人間サイズのEVAのマネキンを作成……その中に色々な仕掛けを施し、対象者をVR空間へと転送してこれまた精巧な造りの操縦席へと座らせ、実際にEVAを操縦する感覚でi.D.ユニットを動かすという、物凄く費用や手間の掛かった物であった。

「操縦システムやインテリアの実寸はほぼ同じですし、接続先から送られる映像のスケールが違うだけで、後はほぼ本物そっくりなはずですよ」

 気になった当の3人はスーツを起動させ、背部のプラグに触れる……直後、彼らは転送され、気が付けばEVAのコクピット……エントリープラグと呼ばれる物の中にあるインテリアシートに座っていた。

『さ、3人とも……いつものように起動させてみて』

 白衣の男からの通信で促され、言われるがままにEVAを起動させる……すると。

『『『……あっ……』』』

 当然のごとく実寸を忠実に再現しているので本物そっくり、当然プラグ内部の再現も全てVRなので、シートから見える全てが実際にEVAを操縦している時と全く同じに思えたのである……外からの映像以外は。

「スーツの寸法が人間サイズだから、自分たちがちっちゃくなった気がする……」

「人間サイズの弐号機を動かすって……ゲームにしては出来過ぎよねぇ?」

「零号機と同じ感じ……違和感もないし、行けます」

 画面の向こうでミサトは大きなため息を吐き、白衣の男を嬉しいやら悲しいやら複雑な表情で睨む……内心、アークスに恩を返せるというのは良い……だが、ここまでお膳立てされた返し方では、納得の行かない事もある。
 だが当の白衣の男は、再現された人間サイズのEVAが動く姿をドヤ顔で誇る……

『ハァ……分かったわよ、出撃は許可してあげる。でも、ちゃんと無事に3人で帰って来なさい……これは命令よ?』

斯くして、人間サイズとなった
人造人間エヴァンゲリオン初号機・弐号機・零号機、参戦決定!!

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