第3話 襲撃、アンスール防衛戦

『敵性体、区画通路から市街地エリアへ侵入!
アークス全員に緊急連絡、市街地に侵入した敵性体を直ちに迎撃してください!!』

シエラの指示で緊急通達が行われ、市街地に警報が鳴り響く
それと同時に市街地の各所にある迎撃設備も稼働し始め、迎撃体制を整えたアークス達も順次現着・・・
過去の教訓と現場の努力が、この短時間で迎撃体制を整えられる結果を産み出していた
しかし、当の迎撃対象である黒い女にとってはただの煩わしい障害が少し増えた程度しか思っていなかったし、実際問題そうであった

「ふふふ・・・小物がぞろぞろとやって来る・・・♪」

黒い女は不敵な笑みを絶やさず、むしろ障害の登場に歓喜すらしたようだった

「私の力を試す実験台にしてあげるわ!」

そう言うと同時に両手から禍々しい光球を無数に放ち、手当たり次第に破壊し尽くしていく・・・
光球の弾速はそれほど速くはないものの、触れた対象をまるごと削り取るように消滅させ、運悪く触れてしまったアークスの四肢すら問答無用で削ぎ落とすという危険極まりないものであった。

「あの光球に触れるな!問答無用で持ってかれるぞ!!」

アークスの肉体はフォトンによって強化されており、それ故自然と防御力は一般人より遥かに高い。
ただの鉛玉程度なら痛みは多少あるものの皮膚を少々傷つけるくらいがせいぜいであり、たとえ頭に丸太が数本同時に降って来ようが致命傷には至らない。
だが、それほどの防御を持つアークスの身体すら一切の防御無視・・・今までにない次元を超越した攻撃に、反撃のチャンスを見出だせないまま時間だけが過ぎていく。

「・・・おやまぁ、今度の相手はチョイとばかりチートじゃないかねぇ。」
「マァ、相手ハ腐ッテモ『ダークファルス』ッテ事ダ・・・コッチノ事情ナド汲ンジャクレネェ・・・ソレヨリモ対策ダ、マダ着カネェノカ?」
「・・・到着を待つには少々時間が惜しい、仕方ない・・・俺達だけで時間を稼ぐぞ。」
「マジかよ・・・貧乏クジじゃねーか!」

市街地の高層ビル郡、その1つの上で4人のアークス達が相談している
1人は片言っぽい口調に着古したロングコートで異様な風貌が目立つ男、龍鬼
もう1人は白い装甲に緑のラインが淡く光る男性キャストのsukeixisu
最後に「貧乏クジ」と憤慨している黒髪の女性、UKAMと・・・リーダー格らしい古びたマフラーをした中性的な顔立ちの若いアークス、シナノの4人だ

「で、シナノンお前大丈夫か?」

UKAMがシナノを心配して声を掛ける

「ん? 何がだい?」
「オレは関係ないけどな、連戦続きだって事だよ。」
「無論オレモ問題ナイ、疲労程度デ己ノ身体スラ自在ニデキヌ程未熟ナラ、己ダロウト死ンデモ構ワンカラナ。」
「どんな価値観だよソレ・・・間違ってもオレ達まで巻き込むなよ、龍鬼!」
「無駄口はココまでだ、行くぞ!」

シナノを中心に、足元で猛威を振るう黒い女を迎撃すべく体制を整える3人

「久々ノ獲物ダ・・・間違ッテモ簡単ニ死ヌンジャネェゾ、ダークファルス。」
「ベルトがなくてもな・・・やってやれない事はない!」
「派手に行こうや!」
「・・・さぁ、アークスの時間だ!」

ビルを飛び降り、まっすぐに真下の黒い女目掛け降下する4人・・・他のアークス達は既に分かっていたのか、奇襲を気付かせまいと奮闘し始めた
黒い女はまだ気付いてない、チャンスとばかりに4人は一斉に銃口で狙いを定め、一斉射と同時に散開した

「?! 奇襲とはやってくれるじゃない・・・まぁ、効き目は薄かったようだけど?」

黒い女は奇襲自体には驚いたものの、受けたダメージは予想より大幅に下回っていたようだ
周囲の一般アークス達は重傷者も多く、ゆっくりと撤退を開始し初め・・・上空から奇襲をした4人が前後左右を取り囲む形で包囲している、状況は好転したかに見えた・・・が

「さっきの雑魚どもよりは骨がありそうね・・・楽しませてちょうだい♪」

例の黒い球をさらに増やして苛烈な攻撃を開始する黒い女、偵察に残ったアークスからの映像をリアルタイムで解析していた艦橋のシエラから報告が上がってきた

≪反応、以前のものと差異は大きいですが、おそらくダークファルス【若人】だと思われます・・・新たに依代を見つけた、という事なんでしょうか?≫
「相手ガ誰ダロウト関係ナイ・・・斬リ捨テ、叩キノメシ、殲滅スルダケダ!」

黒い球を猛然と武器で弾き、自ら突撃する龍鬼・・・
気力に満ちた刃は黒い球を斬り裂き、弾き飛ばし、その軌道を歪めて血路を開いていく・・・
映像を解析し続けるシエラから、黒い球についての詳細が報告された

≪分析完了・・・黒い球は重力球の一種です、フォトン収束率と出力が一定以上あれば、武器による対処は可能です。≫
「つまりは、武器の強さ次第って事かよ・・・!」

≪一般的に出回っている武器では出力に耐えきれませんが、あなた達が持つ武器なら・・・!≫

「とはいえ、このままじゃジリ貧なのは変わらないぜ・・・ベルトさえあれば・・・。」

さっきから黒髪の女性が、ベルトがどうと言っているのをシエラはずっと気にしていた
しかし、この状況でそれを聞ける余裕などあるはずもなく・・・しかし、ある人物からの通信が4人を奮起させた

≪シナノン、ごめん待たせた・・・ついさっき調整と修正が終わったんで、透火がそっちまで運んでる最中だよ・・・現着まであと数分だ、それまで耐えてくれ!≫

「よっしゃ! これで勝ったな。」
「フン、待タセ過ギダロウ・・・トリニティ。」
「ようやく終わったか・・・待ちくたびれたぞ。」
「良いタイミングだ、待ってるよ!」

彼らの勝機はどこにあるかなど見当は付かないが、この一報だけで状況が好転するなど、シエラを始め部外者は誰も思ってなかっただろう
だが、4人はさっきと段違いの勢いと気力を見せつけ、それぞれが猛然と黒い女の猛攻を凌いでいる・・・そして・・・

「シナノ~ン! おっまたせ~!!」

遠目からの叫び声と共に、上空からコンテナが落ちてきた
その上空には戦闘ヘリとそこから顔を覗かせる透火

「待ってたぜ・・・この時を!」

シナノともう1人がコンテナに近寄りすぐさま解錠、中にあったのは・・・一見すると玩具のようにも見えるベルトみたいな物と、それにセットする物であろう部品らしき物体がそれぞれ数個ずつ
少し硬めの梱包材に包まれ、付属品らしき物とひと纏めで区切られているのを見ると、枠ごとがそれぞれセット品なのだろう
それを手早くそれぞれを手に持ち、2人はすぐさま戦列へと戻ってきた
同時に白いキャストへも中身だった1セットを渡し、4人全員がそれぞれ何かの準備体制に入る

「・・・待たせたな、ココからが俺達の本気だ!」

龍鬼は精神を集中するかのように目を閉じ、残る3人はそれぞれベルトを身体に装着・・・いや、身体に近付けたら自動的に巻き付いたという方が正しい
すると電源らしきスイッチが呼応するかの様に起動し、それぞれシステム起動報告を始めた

『OK,Start your Engine!』
『ピピッ・・・Ready!』
『Stand-by・・・。』

4人がそれぞれ独時に事前準備のような行動を取り、同時に叫んだ・・・「変身!」と

- 次回予告 -

4人の元へ届けられた奇妙な装備、彼らはそれらを使いこなし、一気に黒い女を圧倒し撃退し始める
一方、居住区画で逡巡する黒い影は何かを求めて彷徨い続け、圧倒的な力量差を物ともせず純白のキャストと対峙していた

次回、PSO2-ACE’s 第4話 反撃の狼煙

この「テ」のヒーローは遅れてやって来るのが定説ですから・・・(´-∀-`;)ゞ

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