困惑するダークファルスと、彼女を抱きしめて離さない透火……
問題山積みの状況は更に加速していく
『おやぁ? 遅いと思って来てみたら……どういう状況、コレは?』
虚空に黒い塊が現れ、その中から【嫉妬】が現れる……
「……マズイ、透火! 逃げろ!!」
シナノが叫ぶ、だが彼女の耳には届かず……
黒い槍が、彼女の身体を貫通した
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『……何だ、呆気ないのね』
深々と背中側から腹を撃ち抜かれ、吐血する少女と、それを呆然と見ているもう1人の少女……
「……ドジっ……ちゃった……ゴメンね……」
力ない言葉を最後に、透火はその場に崩れ落ちる……対面して立っていた【災禍】の顔には、吐血した血が飛び散って付着していた。
(……何だ、この言い知れない感覚は……)
混乱に混乱を重ね、彼女の精神は答えを求めていた
ずっと長いこと眠っていた際の微睡みから覚醒し、彼奴らに乞われるがまま破壊を繰り返せば良いとだけ思っていた最中……私を楽しませてくれそうな敵の出現……戯れてやろうと力を振るおうとするが存外、上手く制御が効かぬ……そうこうしてる間に突如現れた、我を妹と言って離さぬ女の出現……そして直後に我を襲う頭痛と困惑……一瞬不安感に襲われるが、それは逆に安心感へと変わっていった……
だが、それも唐突に消え去ってしまった……
あの女……空中に現れた黒い女、奴がこの人間に致命傷を与え、何かを掴みそうだった我を再び孤独へと追いやった……
嗚呼、そうか……ようやく判った……そうだったのか……
(我は、何を勘違いしていたのか……)
我の前に立つ者……
『我の道を阻む者は……』
全てが敵だ……こんな簡単な事に、何故我は気付けなかったのだ……
『……全てが敵だ……』
孤独と虚無に苛まれる、それは最早避けられぬ……ならばいっそ……
『全て、消し去るまで……まずは貴様から……!』
透火が崩れ落ち、シナノ達が愕然とする最中……突如として怒気を孕む圧倒的な恐怖が周囲を支配する……
それは【災禍】の発する気だった……
複雑な感情、シナノははっきりとその中に悲しみと怒りを感じ、生唾を飲む
対して空中に佇む【嫉妬】はその気迫に薄ら笑みを浮かべ、口を開く
『あっはぁ♪ どうやら怒らせちゃったみたいね? ちょっと想定外だけど、これでアンタ達は一巻の終わりよ? こうなったら……ぇ?』
突如として【嫉妬】の言葉が途切れる……その原因に、龍鬼が最も早く気付いた。
「アイツ、【嫉妬】ヲ殺リヤガッタ!?」
その言葉に、透火の時以上の驚愕が全員を襲うのだった……
次回予告
【嫉妬】を襲う【災禍】
瀕死の重傷を負った透火をシナノ達が救助しようと踏み出すが
何故か透火に手を出す事を【災禍】が許さない
そこへ現れた黒い杖……鈴の音を響かせ現れたのは……
次回、PSO2-ACE’s
第18話 鈴の音響かせし「芙蓉」の花
失われたモノは戻らない、なればこそ「命」は輝く……
次回更新は10/14の予定です
次回もお楽しみに!!