(続)外伝「境界を超えし者達との共闘」

- アークスシップ 艦橋 -

「敵大型艦、沈黙を守っています……敵艦撃破数は約2万、艦隊の10%に達しています……対する此方の損耗は攻撃艦4隻にキャンプシップ17機、人員損耗度は約2%弱……善戦してますね。」

 マザーシップではなく、最前線に最も近いアークスシップの艦橋で戦況報告を受けるシャオ……シエラもシャオの指示に沿って攻撃艦の連携や部隊間の連絡を取りまとめ、状況が変化し次第シャオへと逐次報告している。

「……今までのフォトナー艦隊の比じゃない数だけど、明らかに動きがおかしい。
 まるで、ルーチンワークみたいな迎撃行動しかしてこないし、大型艦が主砲を撃って来ないのも気になる……」

「シバが居ない事と、何か関係があるんでしょうか……?」

 当時は大型艦からひっきりなしに主砲で威嚇され、相応のシップや攻撃艦の損耗を余儀なくされていたが、現在相対しているフォトナー艦隊の作戦行動は「おざなり」というレベルすらも超え、もはや単純すぎていた。

(……後方に転移させたキャンプシップに目もくれず、ひたすら前方の艦隊に攻撃を仕掛けている、それも当たれば幸いといった感じだ……)

 マザーシップや大半のアークスシップは戦線を離脱させ、無人攻撃艦隊を囮とし、敵の後方に転移してキャンプシップによる艦内制圧作戦を展開したが……あまりにも敵が囮に釣られ過ぎていた為、最初は逆に罠を掛けられたのでは? と慌てた。
 しかし、いくら待っても挟撃は来ず……それどころか敵艦隊は、後方のキャンプシップに気付かぬまま、無人攻撃艦隊と撃ち合いを続けているのであった……



『そっち行ったぞイオ、気を付けろ!』

「くそっ、数だけは多いな……キリがないぜ……っと!」

『ムチャはするなよ?……俺が相棒にどやされるからな!』

「それ、アフィン先輩にだけは言われたくなかったですよ……」

『アフィン! 喋る余裕があるなら手を動かしなさい!!』

『ヒィッ?! ゴメンよユク姉……』

「……やれやれ」

 キャンプシップを護衛しつつ、艦隊の後方へ一緒に転移し、館内制圧組を待つA.I.S.部隊……その中でアフィン、ユクリータ、イオの3人は、敵艦に接舷したキャンプシップ群へ敵が殺到しないよう、囮として迎撃行動を取っている。
 通信だけ聞けば、巫山戯てるのかと思いがちな内容ではあるが……やり取りの最中も撃墜数だけは次々と加算されており、何故か一番アフィンの撃墜数が群を抜いて高い。

 ……それはシバとの一件以来、相棒であるアッシュの負担軽減と称してカリンのVRやA.I.S.のシミュレーターに入り浸り、特訓を続けていたからであった。
 ちなみに、現在までの撃墜数と被ダメージ量は……

イオ     撃墜数137 被ダメージ14%
ユクリータ  撃墜数159 被ダメージ17%
アフィン   撃墜数294 被ダメージ 2% ……である。

『コイツを喰らえっ!!』

 ブラスターやフォトンバルカン、セイバーを切り替えて距離に応じ的確にカウンターで攻撃を当てていくイオのA.I.S.に……

『いい加減……鬱陶しいのよ!!』

 フォトンバルカンを両手に二丁持ちし、時折蹴撃や体当たり等を織り交ぜ、まるで「ガン=カタ」の様な挙動で近づく敵をなぎ倒すユクリータのA.I.S.と……

『掛かった、今だ……ッ!!』

 そしてアフィンの駆る黄色いA.I.S.がフォトンセイバーを閃かせ……すれ違いざまにドラルベルージュ・Σ(対A.I.S.用に巨大化した閃機種)を3体まとめて撃破する。
 振るわれるセイバーから発するフォトンと、瞬間的に超加速したA.I.S.のボディカラー……そしてスラスターが噴出する残留フォトンが相互に反応し、剣閃や軌道に沿って雷光の様なフォトンが煌めき、移動の残影となって残っている……

それは、何処かの○滅の剣士の如き……縦横無尽の活躍ぶりであった。

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