第4話 異質なる力(前編)

「・・・変身!」

叫ぶ声と共に4人は迷いなくそれぞれ動き出す

最初に変身したのはUKAMだった
携帯端末の様なパーツをベルトのスロットへ差し込み、横に倒してベルトにロックする

『Complete!』

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第3話 襲撃、アンスール防衛戦

『敵性体、区画通路から市街地エリアへ侵入!
アークス全員に緊急連絡、市街地に侵入した敵性体を直ちに迎撃してください!!』

シエラの指示で緊急通達が行われ、市街地に警報が鳴り響く
それと同時に市街地の各所にある迎撃設備も稼働し始め、迎撃体制を整えたアークス達も順次現着・・・
過去の教訓と現場の努力が、この短時間で迎撃体制を整えられる結果を産み出していた
しかし、当の迎撃対象である黒い女にとってはただの煩わしい障害が少し増えた程度しか思っていなかったし、実際問題そうであった

「ふふふ・・・小物がぞろぞろとやって来る・・・♪」

黒い女は不敵な笑みを絶やさず、むしろ障害の登場に歓喜すらしたようだった

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第2話 過去と記憶と運命と act.3

惑星ウォパルの不可思議地域、エネミーの湧かないエリアの調査に来た透火。
原因は直下にある虚空機関の施設保全を目的に設置された結界装置であった。
その装置の設置場所を特定するため、追加調査に乗り出す透火であったが・・・

「・・・はぁ・・・どこにあるのよぅ結界装置ぃ~・・・。」

反応あれど装置は見当たらず、調査開始から(現地時間で)4日が経過していた。
未だ発見報告も挙げれず、ウォパルに滞在する透火。
最初に連れてきていた妹たち3人は、調査継続の可能性が濃厚になった時点で先にシップへ戻らせており、現在は透火1人での調査であった。
・・・いや、1人ではなかった。

『・・・さすがに反応があっても、計測データに不自然な揺らぎが混ざって正確な位置が特定できてないし、なにより地上でない可能性が大いに高いからね・・・。』

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第2話 過去と記憶と運命と act.2

小さな少女を置いてけぼりにして笑う大人たち。
彩火は少なくとも、原因が自分ではない事だけは理解したが・・・経緯や現状は未ださっぱり理解できないままでいた。

「はははっ・・・はぁはぁ・・・苦しw」

少女よりは大きいが他より小柄な青い髪の少年、シャオは息を整え透火の連れてきた少女に向き直り、咳払いをして話し始める。

「・・・さて、君と会うのは2度目かな・・・僕はシャオ、オラクル船団の中枢存在で、アークスの管理者・・・といってもワケ解んないよね?」
「管理者・・・船団・・・ここお船の中? シャオ、偉い人?」

断片的ではあるが、彼女の理解力は通常の同年代よりはるかに高いようだ。
彩火の年齢はおおよそ10歳前後・・・現代日本で言えばちょうど小学4年生くらいだろう。
この年齢で断片単語とはいえ難解の部類に入る単語をあっさりと理解し、反芻するように返してくるのはある意味異常である。

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第2話 過去と記憶と運命と act.1

-アークスシップ10番艦・ナウシズ 居住区画「透火のマイルーム」-

「ふーん・・・で、今に至ると・・・?」

険しい表情ながらこれまでの経緯説明を反芻し、唸る一人の女性。
ブロンドヘアの長髪、そして抜群のプロポーションを持つ女性・・・
セリス・シェールは、視界の端に座っている少女を見やり、そしてまた視線を部屋の主・・・透火へと戻す。

「しばらくは監視付きでフィリアさんに面倒見て貰ってたんだけどさ・・・。」

言葉尻を窄めてく透火をフォローするかのように、テーブルへ紅茶を出しながら瑠那が続きを話す。

「シャオの話では、『実験体だったという事以外に不審な点は見付けられなかった』という事で、発見者であり一番懐かれている義姉さまの元で様子を見て欲しいとの事・・・」
「・・・ですが、引き続き情報部の監視体制は継続中です・・・この件はあまり口外されないようお願いします、シェールさん。」

部屋の入口で壁に寄り佇むのは情報部所属のアークス、バイザーで目元を隠してはいるが敵意などは無い。

「・・・もぅ、アイカちゃんもこっちで一緒にお茶すればいいのに・・・。」
「任務中ですので。」

そっけない態度で即答され、透火は落胆する。
その様子に薄ら笑みを浮かべ、セリスは出された紅茶を啜った。

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第1話 惑星(ほし)と少女と暗闇と act.4

巨体が倒れ込む音と共に特徴的な断末魔を上げてマギサ・メデューナは息絶える。
残るのはあまりの独壇場っぷりに言葉を失ったサラと、してやったり顔でハイタッチを決める双子であった。

「・・・練習・・・練習なのこれで?」
「にゃ? そうにゃよー。」
「単一目標に対しての効果的かつ迅速な対応の一環・・・
その答の一つが、『多数・多方向からの攻撃により目標を釘付けにしたまま殲滅まで持っていく事』。
私たちはそれを2人だけで行えるようにしているだけです。」

淡々と答える瑠那の隣ではしゃぐ眞那。

「当面の目標はボス級大型エネミーを出落ちさせるっ!」

などと斜め上の目標を高らかに宣言した眞那。
サラはというと・・・「勝手にしなさい」とばかりの盛大なため息で2人を見るだけだった。

-同エリア・分割ルートB組-

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第1話 惑星(ほし)と少女と暗闇と act.3

-惑星ウォパル ルーサーの研究施設・秘匿エリア-

秘匿エリアの入口からここまでさしたる抵抗も出迎えもなく、周辺を探索しつつ奥へと進む一行
長い沈黙を破ったのはまたもセキュリティロックだった

「・・・ココも透火ちゃんの認証、要るのかな?」

ずんが端末を調べながら呟く、瑠那がカード用のスリットに気付き知らせた。

「ココ、さっきの所員証が使えるかも・・・」

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第1話 惑星(ほし)と少女と暗闇と act.2

トリニティとずんは護衛隊と分かれ、斥候として捜索に出てしばらく・・・
2人は先程のエリアからは少し離れた開けた地点で周囲の様子を探っていた。

「この辺りの海王種も、ほとんど居なくなってる・・・ということは」

ずんは推測ながら、周囲の海王種はほとんどダーカーに追われてこの近辺から去ったか、あるいは先程の防衛戦で殲滅しきれた、と類推する
トリニティのセンサーも、それを肯定する環境数値を示していた。
・・・しかし、少しだけ違う情報もあった。

「でも、この周辺の海王種は移動したんじゃない・・・この場で殲滅させられてるね。」

残留するフォトンのデータは、ある反応を顕著に示していた・・・それはアークスが放つ攻撃性テクニックのフォトン反応だった。

「この場でも戦闘が? 仮にそうならそのアークスは一体どこに・・・?」

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第1話 惑星(ほし)と少女と暗闇と act.1

スクナヒメとロ・カミツ襲撃事件から約1ヶ月・・・

ロ・カミツの封印状態は「限定空間内の時間停止による継続的拘束状態」と判明し、現場と原生民族である龍族に詳しいアキを加えた対策専門チームが結成され、解決案を模索中・・・

スクナヒメを襲撃した謎の「黒い女」に関しては、目下消息不明・・・

しかし、「黒い女」探索中に謎の信号をキャッチする、それは惑星ウォパルにあったルーサーの研究施設…その未調査区画からであった。

-アークスシップ4番艦・アンスール 一般区画「真紅の酒場」-

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序章3 神をも下す悪意

「…やれやれ、お主らは「しょうかいにんむ」とやらで来ておるのであろう?
見ておればさっきから痴話喧嘩やら夫婦喧嘩の様な事ばかり……お主ら、暇なのか?」

手に持った扇子をパチリと閉じ、半ば呆れ顔を浮かべつつ目の前のアークス二人にツッコむ少女
彼女こそ惑星ハルコタンの神にして灰の巫女「スクナヒメ」だ

「痴話喧嘩って、コイツとはそんなんじゃねぇよ?!」
「夫婦喧嘩って、まだそんな関係じゃないわよ?!」

そしてそのツッコミに寸分の時間差なく反論するのは六芒均衡の四「ゼノ」とその幼馴染の「エコー」

「妾の前でなくとも、そんな痴態を目の前で見せられれば、呆れられて当然じゃな。」

慌てて体裁を繕うゼノとエコーだが、もう遅い
精神的ダメージを受けつつも、哨戒に戻る2人を見つめ…スクナヒメは思った

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